令和6年新進作家展の作品を揮毫しました。
紙は9月の秋季展と同じ、水色の地に白い斑点の入ったもの。秋季展では、京都の貴船川に舞う蛍をイメージした作品。そして同じ紙を今回は雪に擬えて書きました。
時は平安時代、和歌に想いを込めて詠み、その返事として相手が和歌を詠む・・・好きな人への想いを歌でやり取りしていました。今ならLINEですね? その歌が大したことないと百年の恋も冷める、と言われたほど。貴族たちはその為に教養を磨いたそうです。
そして時は今。私は最近back numberの歌をよく聴いています。その中で『ヒロイン』という曲がとても好きで、特に歌詞がとても気に入っています。降った雪を見て、隣で綺麗だね、と笑うのは君がいい・・・どんな映画も小説も音楽も、そのヒロインに君を重ねてしまう・・・という、好きな人を想うその歌詞がとても良いんです。
今回、新進作家展の作品題材選びをしていて、その紙とその曲が結びつき、そしてこの和歌を『ヒロイン』の返し歌として揮毫しました。
古(いにしえ)も今も、歌に想いを込めるということは変わらないのですね。
正に、平安時代に古今和歌集の仮名序に紀貫之が書いた、’生きとし生けるものいずれか歌を読まざりける’ です。
時空を超えた返し歌・・・?
『年月のつもりはててもその折の雪の朝(あした)はなほぞ恋しき』 建礼門院右京大夫